お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
「それなら……、起こしてでも手渡しして下さればよろしいのに……」
そう言いながら葛城は、彼女の唇に自分の唇を軽く触れさせた。
「ん……、だって、よく眠っていたから……」
綾芽はそう答えながら、彼の首に腕を回す。重ね合わせた唇は、互いの吐息すら奪う様に、次第に深くなっていった。
「綾芽……、貴女のチョコレートを食べさせてくれませんか?」
葛城がそう強請ると、綾芽はコクリと頷き手渡された箱の包みを開ける。
葛城は、彼女が遅くまで作っていたその中身を予想し期待に胸は膨らんでいた。
彼女は2月に入ってから手作りのチョコレートを作る為に、夜中は厨房に籠り、邸のパティシエに手解きを受けていたのだ。
きっとトリュフやプラリネ辺りを作ってくれたに違いないと。
しかし、彼女が包みを開けて姿を現したのは以外な物だった。
「これは……キス……チョコ……?」
箱に入っていたのは、小さく絞り出して固めただけの大量のキスチョコだった。唖然としている葛城の顔をクスクスと笑いながら、綾芽はその箱から一粒取り上げ、自分の舌に乗せた。
そして葛城に口付けると、自分の舌を捻じ込み彼の舌に絡める。
「ん……っ」