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お嬢様♡レッスン

第23章 執事のお仕事◆杜若莉玖の場合

杜若が執事室の扉を開けると、柳瀬がお茶の準備をして待っていた。

お茶を飲みながら申し送りを受ける。

お嬢様の健康については少し睡眠不足かも知れないとの事だった。

「本当は朝まで…と思ってたんですけどね、乗馬だから勘弁してあげたんですよ?」

柳瀬が意味深な笑みを浮かべてそう言った。

恐らく、遅い時間迄、たっぷり綾芽を可愛がったのだろう。

「広夢君もガッツリスケベだったんすね」

「その言い方は辞めてくれない?リクもお嬢様を抱いてみれば分かると思うよ?」

「俺はそんな気は無いっす。従兄弟だし…。乗馬は慣れない内は結構身体にくるんすよ。だから、追い討ちを掛ける様な事は出来ないっす」

「…………」

杜若の言葉を受けて、柳瀬は少しの間、考え込んだ。

幾ら許されているとは言え、自分の欲望のままにお嬢様を抱くとは、執事としては失格ではないかと。

お嬢様の体調や翌日の予定も考えるべきだったと。

莉玖は無愛想ではあるが、人一倍周りを見て配慮の出来る優しい男だと改めて気付いた。

「僕もリクを見習わないとね…」

「何言ってんすか!俺の方こそ広夢君を見習わないと!ちゃんと敬語を使えるか、マジで心配っすよ」

「大丈夫だよ。リクは昔からちゃんと出来る子だもの。それにね、お嬢様はそう言う事はあまり気にする方ではないから、安心していいよ。巽なんか、“素”のままだったけど、お嬢様は楽しんで居られたみたいだよ?」

「巽君はカッコイイからっすよ」

「何言ってるの!リクだってカッコイイよ?君は優秀な執事だったあの方の甥っ子なんだから、もっと自信を持っていいと思うよ」

柳瀬はそう言うと、励ます様に杜若の肩をポンと叩いた。

「僕達5人の中でお嬢様を一番思いやってるのはリクじゃない。だから心配しないで、そのままのリクで良いと思う。それじゃあ、頑張ってね?」

柳瀬は残っていたお茶を飲み干すと、部屋を出て行った。

柳瀬はああ言ってくれたけれど、杜若は未だ不安だった。

正直言って、杜若は女性が苦手だ。

気の利いた会話も出来ないし、何を考えているのかさっぱり分からないので対応に困る。

しかし、主に頼まれて引き受けた以上、逃げる訳にはいかない。

杜若は自分を奮い立たせると、綾芽の部屋へと向かった。

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