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お嬢様♡レッスン

第4章 この方がお爺様です、お嬢様

安岡女史がドレスを綾芽に着付け終わるのと同時に、部屋の扉が開かれた。

「なっ!まだ着替えてるかも知れないんですからノックくらいしたらどうですか?」

綾芽がドアを開けた張本人・高月にそう言うと、高月は、『執事は主の部屋をノックせずに入る事は許されて居ります』と、しれっと答えた。

「それでも、私は許してないですから!」

綾芽が食って掛る。

二人のやり取りを安岡は目を丸くして見ていた。

「あらあら、いつの間にか随分と仲良くなったんですね?」

「ええ、それはもう」「どこがですか!!」

同時に異なる意を唱える高月と綾芽。

「あら、息ピッタリですわね」

『ホッホッホッ』と、笑いながら綾芽の身支度を終えた安岡女史は去って行った。

二人きりになると綾芽は、先程の事もあるので身構えたが、高月は何事もなかったかの様に、綾芽を本館へと案内した。

本館は重厚な造りで、白鳥館の倍の部屋数が有りそうなくらい広かった。

綾芽は先ず、広間に通された。

初めて見える祖父に何と声を掛ければ良いのか。

どう振舞えば良いのか。

そんな事を考えて緊張していた。

数分後、『待たせたね』と言って現れたのは、綾芽が想像していた祖父像とはかけ離れた、若々しくダンディーな男性だった。

その側には葛城が控えている。

綾芽は立ち上がるとビョコンとお辞儀をした。

「初めまして!綾芽です!!」

何ともお嬢様とは掛け離れた挨拶に高月は苦笑いし、葛城は目を丸くした。

唯、葛城が目を丸くしたのは、綾芽の挨拶の仕方ではなく、彼女が元気を取り戻していた事にだ。

「元気がいいね。葛城の話を聞いて心配していたんだが、大丈夫そうだね?」

「あ…はい。ご心配お掛けしてすみません…」

「いいんだよ。心配するのは当然の事だ。君は僕の孫なんだからね」

「………」

「どうしたんだい?」

「あ、いえ…お若いので、本当にお爺様なのかな…と」

「一応、これでも60は超えているんだがね…」

「えっ!」

「おや、そんなに驚くところかい?」

「はい。驚きました…」

「綾芽はリアクションのいい子だねぇ」

「普通だと思いますが…」

「いやいや、僕の周りなんか葛城みたいなのばかりだからね。冷たい一言を浴びるか、華麗にスルーされるかのどちらかなんだよ」

そう言って東乃宮宗佑が葛城をふざけて睨む。

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