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黒崎は心配していた。

綾芽が、空元気の様な気がしたのだ。

皆の前では言いにくい事かも知れない。

後で、折を見て話してみようと思った。

皆でワイワイ騒いでいると、名古屋まではあっという間に過ぎて行った。

途中、はしゃぎ過ぎて注意を受けると言う、二十歳を超えた大人としは少し恥ずかしい思いをした。

新大阪までくらいは、皆元気だった。

問題はそこからだ。

車窓の外が、自然いっぱいの景色となり大きな変化は余り無く、また、長時間乗って居るために飽きて来るからだ。

今回向かっているのは、広島県沖の瀬戸内海に浮かぶ島の一つ。

結構な広さのある島で、某夢と魔法の国の五分の一程度の広さで、東京ドームに換算すると二つ分程度。

個人が所有する島とすれば、十分な広さと言えよう。

次第に飽きてきた執事達は、一人また一人夢の中に堕ちて行く。

そんな中、綾芽は静かに窓の外を眺めていた。

「綾芽ちゃん、同じ景色ばっかで飽きない？」

そう声を掛けてきたのは、隣に座っている速水だった。