テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第53章 主と執事

「どうするも何も、お決めになるのは綾芽様ですので、私は何ともお答えは出来ません」

「でも、お前は綾芽の心を取り戻したい、そう思っているのだろう?」

「いえ…」

本心を表さない高月の言葉に、目を細めて宗佑は彼を見る。

そう思っていないのであれば、綾芽が心をあそこまで痛める事はない。

「嘘を吐くのは良くないな。正直に話してみなさい。神崎君。キミが神崎家に戻り、正式に綾芽に交際を申し込めば、まだ望みはあるよ?」

「…っ!!」

宗佑の言葉に、息を呑む。

考えた事がない訳ではない。

しかし、そうすれば自分も綾芽も神崎に利用される事になる。

そして、自分はあの嫌悪の対象でしかない家に戻らなくてはならなくなる。

「まぁ、私は賛成出来兼ねるがね。綾芽も私も、執事としてキミを高く評価している。執事としてのキミを失いたくはないからね」

「…有難う御座います」

「綾芽の事でキミを煩わせてすまないと思っている」

「そんな滅相も御座いません」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ