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お嬢様♡レッスン

第6章 Lesson 1♥自分の身体を知りましょう

「何のですか?」

「『男を虜にする才能』です。今日の彼等の様子を見ていれば分かりますが、今朝の事で彼等の頭の中は、お嬢様でいっぱいの様ですね 」

「そんなの…」

「必要な事ですよ?特に嫁がれるお嬢様に於いては。しかし、綾芽様は配偶者の方をお迎えする側ですので、優秀な種だけを頂いて離縁しても東乃宮家的には問題ありませんが」

「でも、想い合った人とだったら、ずっと一緒に居たいです」

「それなら、その才能を活かせば良い事です」

「私、恐かったんです。皆さんにエッチな事をされて感じてしまう自分が…」

父と母の様に生涯一人の人と添い遂げる事が、綾芽の理想だった。

「身体の反応は致し方無い事です。お嫌でしたら気を強くお持ちなさい。貴女は私共の主人です。一言命ずれば高月も引く筈ですよ?」

「分かりました。『気を強く』ですね?」

「はい。さぁ、お喋りはここ迄です。旦那様が次に日本にお帰りになる迄に、成長されたお嬢様の御姿をお見せ出来るようにしなければなりません」

「はい!」

「よい御返事です」

それから綾芽は葛城の講義に集中した。

マナーと言うのは形式的なものばかりでは無く、心の在り方の表現の一種である事、心の在り方とは相手を思いやる気持ちである事。

周りを気遣うからこそ、不快な思いをさせない為に、姿勢も正しくなり、所作が美しくなるのだと言う事が分かった。

「お嬢様は一番基本的な『相手を思い遣る心』をお持ちです。ですので形式的なルールを覚えて自信をお持ちになれば、立派な淑女になれますよ」

「はい、頑張ります!」

「結構です。…とそうですね、ルールを学ぶ前に少し姿勢を矯正した方が良いかも知れませんね」

「『姿勢』ですか?」

「はい。お嬢様は猫背では有りませんが、唯、背筋をピンと張って居れば良いと言う事ではありません。どうぞこちらへ」

葛城に促されたのは綾芽が住んでいたアパートの間取りがすっぽり収まる程の広さの衣装部屋だった。

その中の姿見の前に立たされる。

「ご覧なさい。お嬢様の立ち姿は確かに背筋が伸びて姿勢は宜しいのですが、優雅さに欠けます」

そう言うと葛城は片隅に置いてある椅子を鏡の前に置き、綾芽に座るよう指示する。

綾芽は何気なくストンと座ると葛城を見上げた。

「駄目ですね…」

「う…」

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