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お嬢様♡レッスン

第58章 お嬢様とお兄ちゃん

余程辛かったのだろう。

しかし、何と声を掛ければ良いのか。

気の利いた言葉が思い浮かばない。

黒崎は、そんな自分が情けなかった。

女の子を喜ばせる様な言葉も。

勇気付けるような言葉も。

何一つ持ち合わせてはいない。

黒崎は、言葉を掛ける事が出来ない代わりに、腰に回された綾芽の腕を優しく擦ってやる事しか出来なかった。

「綾芽ちゃん。風邪、引いちゃうよ?」

「じゃあ、お兄ちゃんが温めてくれる?」

綾芽の言葉に黒崎の股間がドクンと脈打つ。

(落ち着け俺。『温める』ってそう言う意味じゃないだろっ!でも、何だ?どうすれば良いんだ?)

黒崎は軽くパニックに陥っていた。

(ええと…。どうすれば良い?考えろ、俺!!)

しかし、エッチな妄想ばかりが思い浮かんでは消えるだけだった。

「お兄ちゃん?」

「あ…、ああ、ゴメン。その…どうすればいい?」

黒崎は情けないと思いつつも、ストレートにそう尋ねた。

「ん…。ギュッってしてくれる?」

「分かった…。でも、綾芽ちゃん?その前に、服、着ようか。そうじゃないと、俺の心臓が保たないよ…」

黒崎は真面目な男だった。

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