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お嬢様♡レッスン

第59章 そして2人きり

翌朝───。

朝食の時間になっても、綾芽は下りて来なかった。

「もう、俺達と顔を合わせたくないのかな…」

白河がポツリと零す。

自業自得だと分かっていても、辛いものは辛い。

それは、速水も同じだった。

彼のそれまでの恋愛スタイルは『来るものは拒まず、去る者は追わず』だった。

求められれば与えるし、求められなくなれば、それはそれで構わなかった。

自分から求めたのは、綾芽が初めてで、ここまで傷付け、そして傷付けられたのも、彼女が初めてだった。

昨夜から、どうしていつもの通り、おちゃらける事が出来なかったのだろうかと悔やんでばかりだ。

綾芽の居ない、静かな朝食。

食器が触れ合う音だけが響いていた。

「船…、何時に来るんだっけ?」

速水は時計を見ながら黒崎に訪ねる。

「昼くらいに着くって聞いてる」

「そっか…」

その前に綾芽に謝ろう。

速水はそう心に決めた。

「ご馳走様」

食事を終え、各々は食器を洗い、リビングの掃除をし、ゴミの処理をする。

速水は、頃合いを見て綾芽の部屋へと足を運んだ。

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