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お嬢様♡レッスン

第59章 そして2人きり

(寝ちゃったのか…)

恐らく、昨夜はあまり眠れなかったのだろう。

目の下に薄らと隈が出来ている。

頬に残る涙の痕。

瞼は赤く腫れぼったい。

ここで寝ていたら、風邪を引いてしまうかもしれないと、黒崎は綾芽をそっと抱き上げて、部屋へと運んだ。

冷たい濡れタオルを目に当ててやり、黒崎は静かに部屋を出る。

今日から数日間は二人きり。

料理はあまり得意な方ではないが、これも綾芽の為にベストを尽くそう。

東京に戻るまでは、自分は綾芽の執事だ。

そして執事たるもの、料理も掃除も洗濯も全て出来なくてはならない。

執事とは本来、そう言うものなのだ。

唯、お茶を淹れ、主人の相手をし、訪問者の相手をするだけではない。

執事とは万能でなければならないのだ。

「よし!」

黒崎は冷蔵庫と食糧庫の中を確認すると、スマートフォンで料理のレシピが紹介されているサイトを開く。

そして、綾芽の為に晩御飯を作り始めたのだった。

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