お嬢様♡レッスン
第65章 幸せな時間(とき)
綾芽の事は葛城が幸せにしてくれるだろう。
自分は彼女の幸せを陰ながら見守ろうと。
そう決心してはいたが、出来ればこの時間が少しでも長く続いて欲しいと願わずには居られない。
しかし、そんな彼の願いは一本の電話で叶わぬものとなった。
ポケットの中で震えるスマートフォンを取り出すと、黒崎は電話に出る。
『おはようございます。葛城です』
「おはようございます」
『今、お話をしても宜しいでしょうか?』
「はい。大丈夫です」
『旦那様から、了承を得ました。本日の夕方、そちらに到着致します』
電話の向こう側で、心なしか葛城の声が弾んで居る様に感じる。
(ああ。この時が来ちゃったか…)
心の準備はしていたつもりだったが、いざ、その時が来ると胸が締め付けられる様に痛む。
「そうですか…。お一人ですか?」
『ええ。私一人の予定ですが、何か?』
「いえ、綾芽様の執事でない貴方がお一人でお越しになる事をよく旦那様がお許しになったな、と思いまして」
(何を言っているんだ、俺は。旦那様に打診したのは自分だって言うのに…)
『私も、許して頂けるとは思っていませんでしたが、言ってはみるものですね』
自分は彼女の幸せを陰ながら見守ろうと。
そう決心してはいたが、出来ればこの時間が少しでも長く続いて欲しいと願わずには居られない。
しかし、そんな彼の願いは一本の電話で叶わぬものとなった。
ポケットの中で震えるスマートフォンを取り出すと、黒崎は電話に出る。
『おはようございます。葛城です』
「おはようございます」
『今、お話をしても宜しいでしょうか?』
「はい。大丈夫です」
『旦那様から、了承を得ました。本日の夕方、そちらに到着致します』
電話の向こう側で、心なしか葛城の声が弾んで居る様に感じる。
(ああ。この時が来ちゃったか…)
心の準備はしていたつもりだったが、いざ、その時が来ると胸が締め付けられる様に痛む。
「そうですか…。お一人ですか?」
『ええ。私一人の予定ですが、何か?』
「いえ、綾芽様の執事でない貴方がお一人でお越しになる事をよく旦那様がお許しになったな、と思いまして」
(何を言っているんだ、俺は。旦那様に打診したのは自分だって言うのに…)
『私も、許して頂けるとは思っていませんでしたが、言ってはみるものですね』