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「でも…」

「ご心配には及びません。私は直ぐに戻ります。唯、貴方にお逢いして謝りたかっただけなのですから…」

「高月…」

「私は、葛城さんが私達執事を守る為に、自分が犠牲となり恵莉奈お嬢様に奉仕する事になるのは分かっておりました。私はその場面を貴女に見せ動揺を誘い、私を選ぶ様、仕向けました。貴女の心が壊れかけていたと言うのに…。本当に申し訳ございませんでした」

高月はそう言うと足元に視線を落とす。

「結局の所、私は自分で貴女を探し出す事も出来ませんでした。ここには葛城さんにお願いして連れて来て頂きました」

「それは仕方のない事ですよ。旦那様の財産を貴方が管理していれば、貴方だって気付いたはずです」

「いえ、私は些細な情報も彼等から聞き出す事は出来ませんでした。私は彼等に最初から警戒心を植え付けてしまい、貴方の様に会話の中から糸口を見つけ出す事すら出来ませんでしたから…」

高月は顔を上げ、葛城を見てそう言った。

「まだ、お二人の事を祝福する気持ちにはなれませんが、私はお嬢様の幸せを願っております。私と共にある事で、そう思って頂けるのが一番なのですが、それは無理な事だと承知しております」