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「ごめん…なさい…。私、高月に酷い事ばかりしてる…」

「いえ、謝らないで下さい。一瞬でも貴女の御心が私に向いて下さっただけでも、光栄です」

そう言うと高月は綾芽に深く頭を下げた。

綾芽はその姿に胸が締め付けられる。

自分は、この人も傷付けている。

それが、心苦しい。

何も考えずに、彼等の愛を受けるだけ受けて、何も考えずに居られればどんなに楽だろうと思う。

しかし、綾芽にはそれが出来る器用さはない。

「それで、綾芽様。今後の事なのですが…」

葛城が厳しい顔をして綾芽を見る。

「はい」

「私は貴女の執事でもないのに、貴女に手を出したという罪で、東乃宮の家令としての任を解かれる事になりました」

「え？それって、どういう…？」

「所謂、クビです」

「ええっ!?」

「今後は、この高月が家令として東乃宮を守って行く事になるでしょう」

「ですので、私は戻らなくてはなりません」

「じゃあ、私には執事が付かなくなるって事ですか？」