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「船長に伺ったのですが、少し遠回りをして戻るそうです」

「遠回り？」

「はい。旦那様は他にも幾つか島をお持ちです。その周辺を綾芽様に案内する様に託けられているそうです」

「そうなんですか？降りるんですか？」

「いいえ。今回は近くを通るだけです」

「そうですか…」

「いつか、機会があれは行けますよ」

「そうですね！」

「船内をご案内致しますので、中に入りませんか？」

「はい！」

葛城の誘いに綾芽が元気よく答えると、二人は手を繋いで船の中へと入って行く。

船員達が過ごす船室や、厨房、機関室、ダイニングやリビング。

そして操舵室。

ここは船の中でも見晴らしの良い場所である。

初めて見る計器類。

初めて見る景色。

それに綾芽は興奮していた。

「凄い！こんな風になってるんですね！」

目を輝かせてあちこちを見回す。

「今でこそ、コンピューターで制御し、これだけの計器類がありますが、その昔は、この舵輪とコンパス、風を頼りに航海をしていました。昔の船乗りは、大変だったでしょうね」

船長が色々な説明をしてくれるのを綾芽はニコニコしながら聞いていた。