テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第74章 星空の下で

「有難うございます」

脱いだばかりの上着は、葛城の香りと体温をそのまま綾芽に伝える。

まるで、彼に抱き締められているみたいだ。

「温かい…。葛城さんに抱き締められてるみたいです」

「本人が目の前に居るのに、上着だけで満足ですか?」

葛城はそう言うと、綾芽を引き寄せて抱き締めた。

「こちらの方が温かいでしょう?」

耳元で囁かれる葛城の声が、甘く響く。

彼の問い掛けに綾芽は無言で頷いた。

(温かいと言うよりも…火照って熱くなっちゃうよ…)


不意に手を握られた時。

耳元で甘く囁かれた時。

抱き締められた時。


何気ない事でも、彼女の身体の芯は熱くなる。

そして、それは甘い蜜を身体の奥から溢れさせるのだ。

葛城は、腕の中の綾芽の体温が、少しだけ上昇したのを感じた。

頬に手を当て、彼女の顔を自分に向けさせる。

暗がりで、顔の色は見えないが、掌から伝わる熱が、彼女の顔色を想像させる。

しっとりと濡れた二つの双眸が、星を映す。

葛城はその瞳に吸い寄せられる様に、彼女に口付けを落とした。

「ん…」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ