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お嬢様♡レッスン

第79章 異国の紳士

しかし…。

「やっ…!止めて下さいっ!」

綾芽は強い口調でヘンリーに止めるように言うが、彼は綾芽の言葉が聞き取れないとでも言うように首を傾げ、更に彼女の敏感なところを擽った。

「いい加減にしてっ!」

綾芽はそう言うと、ヘンリーを突き飛ばし、彼の頬を平手で打つ。

大人しそうな綾芽が、突然手を上げた事に彼は驚いて目を見張った。

「ご…ごめんなさいっ!でも、貴方がいけないんですっ。言う事を聞き入れて下さらないから…」

「ふっ…。記憶はなくても、お嬢様は”お嬢様”…ですか」

打たれた頬を抑え、綾芽から視線を外すと、ヘンリーは小さな声で呟いた。

「え?」

彼の言葉が聞き取れずに、綾芽は聞き返す。

しかしヘンリーは『何でもございません』と言ってにっこりと綾芽に笑って見せた。

「少し悪ふざけが過ぎました。お許し下さい」

そう言うとヘンリーは深々と頭を下げる。

「えっと…。私の方こそ、ぶってごめんなさい」

申し訳なさそうにしゅんとして謝る綾芽。

「お気になさらず。レディに失礼な事をしたのですから、当然の報いですので。後は、ご自身でどうぞ」



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