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お嬢様♡レッスン

第79章 異国の紳士

ヘンリーは手に付いた泡を洗い流すと、浴室から出て行く。

パタンと扉が閉まる音と同時に、力が抜けた様に綾芽は大理石の床の上にペタリと座り込んだ。

それと同時にホッと溜息を漏らす。

乱暴な事をされたらどうしようかと、不安な気持ちがあったからだ。

しかし、自分を売り払ったあの男とは違ってヘンリーの手は優しかった。

だから余計に胸が切なくなったのだ。

過去にもそんな事があった様な気がする。

自分が落ち込んでいた時。

淫らな行為を綾芽にする事で、彼女を奮い立たせてくれた人が居た様な。

「駄目だ…。思い出せない」

モヤモヤした気分を洗い流す様に、綾芽は頭からシャワーを浴び、身体を洗うと湯船には浸からずバスローブを身に着け、浴室を出た。

部屋に戻ると、ヘンリーが誰かと話しているのが視界に入った。

その人物はソファに背中を預けて、傍に立つヘンリーを見上げながら話をしている。

綾芽の方に背を向けている為、その人物の顔は分からないが、声と髪型で男性である事は分かった。

ヘンリーがその男に何やら言葉を掛けると、男がゆっくりと振り向きながら立つと、綾芽の元へと歩いて来る。


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