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お嬢様♡レッスン

第80章 小悪魔♥紳士

その日の夜、執事であるヘンリーが部屋を出て行くと、ウィリアムと綾芽は二人きりになった。

「桜子、おいで?」

ベッドヘッドに凭れながら本を読んでいたウィリアムが、綾芽を手招く。

綾芽はギクシャクしながらベッドに近付くと、油の切れたロボットみたいにぎこちない動きで、ベッドに腰を掛けた。

その様子を見てウィリアムがクスクスと忍び笑いを零す。

「緊張してるの?」

そう問われ、綾芽はまたギギギと音がなりそうなくらいゆっくりと頷いた。

「そんなんじゃ、婚約者じゃない事がバレちゃうよ?」

そう言うとウィリアムは綾芽の腕を掴み、自分の腕の中へと彼女を引き寄せた。

「きゃっ!」

勢いでウィリアムの胸に顔を埋めてしまった綾芽。

ガウンの隙間から見える彼の胸板は、顔に似合わず逞しい。

「ねぇ?桜子。僕を見て?」

ウィリアムが耳元で甘く囁く。

恥ずかしさで顔を上げられない綾芽は、俯いたままだ。

ウィリアムはそんな綾芽の様子に、『やれやれ』と思いながら、彼女の顎に手を掛け、自分の方へと顔を向けさせる。

「ふふっ。桜子、知ってる?そう言う態度は、僕の様な男に火を点けるって事を…」

(え?)


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