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「それは今のところ考えていないよ。僕にはロートマン家を守ると言う使命があるからね」

「それならいいんだけど…。僕、嫌だよ。兄さんと離れ離れになるのは」

そう言ってフレデリクはウィリアムのジャケットの裾をギュッと握り締める。

「フレデリク。男はいつか必ず独り立ちをしなくちゃいけないんだよ？」

「そんな事は分かってる！でも、今はまだ一緒に居てもいいでしょう？」

フレデリクは兄に縋りつく。

ウィリアムは彼を抱きとめると彼の柔らかい金色の髪を撫でながら答えた。

「当たり前だろう？お前はたった一人の大事な弟なんだから…」

「どれくらい大事？あの女より？」

フレデリクは顔を上げるとじっと兄を見つめる。

「お前が何故、彼女と張り合うのか分からないけれど、お前の方が大事だよ。だって、血を分けた、たった一人の弟なんだから」

そう言ってウィリアムは彼を安心させる様に、彼の背中をポンポンと叩いた。

美しい兄弟が抱き合う姿は、腐女子が見たら黄色い歓声を上げて喜びそうな光景である。