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お嬢様♡レッスン

第84章 ロートマン子爵の謀

書斎を後にしたウィリアムは、その足で綾芽の部屋を訪ねた。

綾芽はソファに座って本を読んでいた。

「桜子、さっきはごめんね?」

そう言ってウィリアムは彼女の隣に腰を下ろし、彼女の腰に手を回すと『何を読んでるの?』と本を覗き込む。

彼女が読んでいたのは、経済学の本。

そしてテーブルの上には英和の辞書が置かれていた。

辞書は綾芽がヘンリーに頼んで買って貰った物だった。

「ふふ。桜子は勉強熱心だね?」

そう言ってウィリアムは綾芽の肩に顎を預ける。

「少しでも…ウィルと色んな事を話せるようになりたいから」

綾芽はそう言って頬を染めた。

そしてそれはウィリアムを驚かせた。

彼の人生に於いて、会社の部下以外の女性と経済の話をする事等、なかったからである。

パーティーで女性と話をする時は決まって、天気の話、趣味の話、家庭や家族の話、恋愛の話、洋服や帽子の飾りの事等、日常生活についての話ばかりで、仕事や経済についてを語り合う事はない。




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