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お嬢様♡レッスン

第89章 執事の計略Ⅳ(ヘンリー編)

御人好しにも程がある。

フレデリクはそう思うと、少し腹立たしくなった。

どこまで馬鹿なんだ。

そして何て優しい人なんだ。

兄は彼女のこういう所を気に入ったのだろうか。

自分は弟の立場で兄に甘えてばかりだった。

しかしそればかりでは駄目なのだと、フレデリクは悟った。

綾芽にしてみれば、唯、心に根付いている『おもてなしの心』を体現しているだけなのだが。

フレデリクは、時折、煩そうに髪を掻き上げる綾芽を見て、彼女の髪を集めて邪魔にならないようにしてやった。

綾芽はそんな彼の行動に、目を細めて彼を見上げた。

フレデリクは何となく、綾芽が感謝しているのだと感じた。

卑猥な行為をしているだけなのに。

身体の疼きを鎮める為だけの行為なのに。

何故かフレデリクの心は少しだけ温かくなった気がした。

幾度となく精を吐き出しても、再び立ち上がる欲棒。

それを嫌な顔を一つせずに、鎮めようとしてくれる綾芽。

いつしか、彼の中に綾芽に対しての新たな感情が芽生えていた。



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