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お嬢様♡レッスン

第91章 お坊ちゃま、ひと夏の恋

「ねぇ、フレデリク?僕は彼女がキミを嫌っている様には見えなかったけどな」

チャールズはフレデリクの背中を優しく叩いてそう言った。

「そんな訳ないだろう?」

「そうかな?キミの事を会話に入れようと話を振ったり、キミの事を気に掛けていた様に見えたけど」

そうであったなら、どんなに嬉しい事かとフレデリクは思う。

しかし、彼女の優しさは誰にでも分け与えているものであり、自分が特別視されている訳ではない。

「兎に角、嫌われていると思うなら、好かれる努力をする。そこからじゃないのかい?」

チャールズはフレデリクを諭す様に言う。

彼はどんな時も前向きで明るい。

フレデリクはそんなチャールズを羨ましいと感じていた。

「努力をして報われなかったら、馬鹿みたいじゃないか…」

そして、時々、それが恨めしくもある。

「例え彼女との恋が実らなかったとしても、努力をした事はキミのいい経験になると、僕は思うよ?」


そうだろうか。

そして自分は実らなかった恋を抱えて生きていくのだろうか。


フレデリクは考える。

長年、背徳的な恋に身を焦がしていた彼は、どうしても後ろ向きに考えてしまう性質だった。


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