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お嬢様♡レッスン

第91章 お坊ちゃま、ひと夏の恋

彼は綾芽を補助し馬に乗せると、自分もヒラリと馬の背に飛び乗った。

ウィリアムにそっくりなフレデリクの風貌は、まるで王子の様である。

恐らく、ここに観光客が居たら黄色い歓声が沸き起こるだろう。

「じゃあ、行こうか」

フレデリクは綾芽に向かって声を掛けると手綱を繰って馬を歩かせる。

そして綾芽もそれに続いた。

(記憶がない割にはきちんと乗れているな…)

フレデリクは、記憶のない綾芽を一人で馬に乗せて良かったのかと危惧していたが、それは要らぬ心配だった様だ。

きちんと手綱を操り、彼の後を付いて来ていた。

敷地内をぐるっと巡り、裏手にある小川まで来るとフレデリクは馬を止める。

「ここで休もう」

そう言って馬を降りる。

彼は綾芽を手伝い、彼女を馬から降ろすと、2頭の鞍を外してやり遊ばせてやった。

次にバスケットからシートを取り出すと、それを柔らかい草地の上に敷く。

「ここに座るといい」

綾芽にそう言うと、フレデリクもそこに腰を下ろした。

綾芽も言われた通りに、その隣に座る。

鳥の囀りと小川の潺。

馬が草を食む音。

後は静かなものだった。




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