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「ふぅん？僕は別にキミがロンドンに行っても構わないけど、キミが居たいと言うなら、別に良いんじゃない？」

フレデリクは彼女が兄ではなく、自分を選んでくれた事が嬉しかったのだが、口を吐いて出た言葉は、そんな強がりだった。

綾芽はそんな彼に目を丸くしたが、それがフレデリクの照れ隠しなのだと分かると思わず笑ってしまった。

「何だよ？」

笑われた事を不服そうな顔をしてフレデリクが綾芽を睨む。

「何でもない！それで、どうするの？」

「何が？」

「私の知りたい事を教えてくれるのかどうか」

彼女がロンドンに行かないのであれば、兄が帰って来てからでも、十分二人の時間はある。

唯、自分を選んでくれた彼女に対し、黙って居る事が心苦しい。

「分かった。何処にも行かないって約束してくれたら話すよ」

「それはお話の内容にも依るけれど、私は約束は守るわ。貴方がここに居る間は、何処にも行かない。例え記憶が戻ったとしても…」