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「彼女を気に入った男が、もう一人居た様で、結構、高くついてしまいましたが、私は満足でした

何せ、手の届かない人だと諦めていた方にそっくりな女性を手に入れる事が出来ましたから」

そう言うとウィリアムはニッコリと微笑んだ。

「彼女が引き渡され、私は自分の家に彼女を連れ帰りました。

驚いた事に彼女には記憶がありませんでした」

「何だって？」

これには宗佑も驚いた様で、葛城と同様に声を上げた。

「言葉や習慣等は身体に染みついていた様です。英語も達者でした。

ですが、自分が何者なのか、恋人や家族の記憶が一切ありませんでした。

彼女の中で忘れたい事だったのかも知れませんね？」

そう言って意味ありげに微笑みながら、ウィリアムはまた一口紅茶を口に含んだ。

「ああ、このシャンパンの様な爽やかな味わい。良い茶葉をお使いですね」

「それで…何故、彼女が綾芽だとお思いなのかな？」