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お嬢様♡レッスン

第96章 緊急Mission1♠お嬢様を同定せよ

莉玖が礼を述べ頭を下げると、執事は『どうぞこちらへ』と中へ入る様に促す。

莉玖はその後に続き、こっそりと邸の中を見回した。

綺麗に掃除が行き届いているが、人の気配のあまりしない、寂しい館だと感じる。

本当に綾芽はここに居るのだろうか。

「今の時期は、この邸のお坊ちゃまが帰省されておりますので、一般には解放しておりません」

「そうなんですか?それはすみませんでした」

「いえ。ゲストは丁寧にもてなせと主人に言われておりますので、お気になさらず」

そんな会話を交わしながら、莉玖は客間へと通された。

調度品等、歴史を感じる物がそこかしこに置いてある。

歴史のある一族なのだろうと莉玖は思った。

「こちらでお待ち下さい」

そう言うと、執事らしき男は部屋を出て行く。

うろうろしたら不審者だと思われて摘まみ出されるかも知れない。

中を歩くのであれば、後で部屋を見たいと頼んでみればいい事だ。

そう思い、莉玖は椅子に腰を下ろした。

暫くすると、執事がティーセットを載せたワゴンを押しながら戻って来る。

無駄のない流麗な動きに見惚れる。

自分が綾芽にお茶を淹れる時、あんな風に出来ていただろうか。


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