テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第96章 緊急Mission1♠お嬢様を同定せよ

莉玖は息を呑んで、彼の所作を見つめる。

「どうしました?」

莉玖の視線に気付いた執事が、首を傾げて尋ねる。

「あ、いえ…。本場の執事の方にお逢いするのは初めてなので…」

「そうですか…。お宅には執事はいらっしゃらないのですか?」

「一応は…」

自分もそうなのだとは言えない莉玖。

「お父様はそれなりの地位の方なのでしょうね?」

「いえ、そんな事はありません」

「そんな、ご謙遜を」

そう言いながら、執事は莉玖の前にお茶の入ったカップを静かに置いた。

一応、莉玖も綾芽に教える側として、一通りのマナーや所作等は叩き込まれている。

それ故、執事も彼をお金持ちの子息と判断したのだろう。

言葉が英語であるのが、幸いしているのかもしれない。

彼が学んだ英語も、クィーンズ・イングリッシュであったから。

「こちらがパンフレットになります」

そう言って執事がリーフレットを差し出す。

莉玖はそれを受け取り、パラパラと捲ってみる。

中はロートマン家の歴史と客室等や馬房の写真、近隣の観光スポット等が紹介されていた。

これは先輩方へのお土産にでもしよう。

莉玖はそう思い、パンフレットをバッグの中へ仕舞った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ