
お嬢様♡レッスン
第96章 緊急Mission1♠お嬢様を同定せよ
綾芽だっ!!
間違いない。
あの声、そして笑い方。
この世に3人程、似ている人物が居るとは言うけれど、ここまでそっくりな訳がない。
あれは綾芽本人だ。
莉玖はそう確信した。
記憶を失っていると、葛城からは聞いているが、話し掛けてみるべきか?
そうだ。
話し掛けてみよう。
日本人が居るとは思わなかったからと尤もらしい理由を付けて。
自分に逢う事で、記憶の扉が開くかも知れない。
それに僅かな望みを賭けて莉玖は二人に近付いた。
「すみません」
莉玖が声を掛けると、二人は立ち止まる。
男の方は、良い雰囲気を邪魔されたとばかりに不機嫌そうな顔をした。
(コイツ…。綾芽の事が好き…なのか?)
胸がざわつく。
「日本の方ですよね?自分も日本から来てるんです」
「え?そうなんですか?」
「ええ。日本の大学の馬術部に所属しているのですが、大会でイギリスに来ていて…。こちらのお邸で合宿等が出来ると伺ったので、下見に来たんです」
「へぇ!そうなんですね!宜しかったらご案内しましょうか?」
綾芽は笑いながらそう言った。
「いいんですか!?」
「え?ちょっと桜子、何勝手にそんな事言ってるの?」
