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お嬢様♡レッスン

第97章 合流

「だったら、隙を見て抜け出して来て」

そう言うと莉玖は、自分のスマートフォンを綾芽に手渡した。

「このアイコンをタップすれば、葛城さんのスマートフォンに繋がる。俺達は明日、ここの周りに居るから、出て来れる様だったらそれで連絡して」

そう言うと莉玖は綾芽の手に自分の手を重ね、スマートフォンを握らせる。

「良かった、綾芽に逢えて」

莉玖はそう言って微笑んだ。

(あ…。この笑顔…)

彼の笑顔に、綾芽の記憶の扉が少し開いた様な気がした。

何となく、彼女の記憶の中にある父が笑った時の顔に似ていたのだ。

彼が従弟と言うのは、本当の事なんだろう。

「明日、ここで…」

そう言うと莉玖は足早に去って行く。

その後ろ姿を見守っていると、彼が何度か振り返り、手を振った。

「ふふ…莉玖ってば…」

思わず口をついて出た言葉。

(あれ?私、彼の名前なんて聞いたっけ?)

彼女の記憶の扉が完全に開かれるのは、もう間もなくなのかも知れない。


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