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お嬢様♡レッスン

第13章 お嬢様の休日

「庶民のデートをしませんか?」

高月が突然そう言い出した。

「高月、私は『庶民』と言う見下した言い方は好きではありません」

「失礼致しました」

「『普通のデート』とか『一般的な』とか他に表現があるかと思うんですけど…」

「はい」

「普通のデートだから、『お嬢様』は無しですよ?」

「では、何とお呼びすれば…?」

「『綾芽ちゃん』で良いですよ?私は『雅哉さん』と呼びますね?」

「宜しいのですか?」

「今日だけですよ!?」

「畏まりました」

「それは禁句です。お屋敷を出たら辞めて下さいね」

「畏まりました」

「運転手付きの車もなしです」

「では移動手段は…?」

「公共交通機関があるじゃないですか!」

「ああ、その様な物がありましたね。長らく利用していないので、すっかり忘れておりました」

「貴方って人は…」

「済みません。それでは私が運転すると言うのは如何でしょうか?」

「それ、いいですね!」

「それでは早速、車を回して来ます」

そう言うと高月は綾芽の元を離れ、暫くすると玄関の車止めに現れた。

「お待たせ致しました」

「………どうしたんですか?これ…」

「旦那様のお車をお借りしました」

高月が乗って現れたのはイタリアのランボルギーニ社のアヴェンタドール。

綾芽は車の事は分からないが、高いであろう事は分かる。

見掛ける頻度の高い車ではない。

「高月…これは一般的な車ではないのでは?」

「しかし、お嬢様とデートでしたら、これくらいのお車でないと…」

「普通のデートをするんじゃなかったんですか?この車はどう見ても普通じゃないですよね?」

「お気に召しませんでしたか?」

「召しません!もう、いいです。電車にしましょう?」

「電車…ですか?」

「渋滞に巻き込まれる事もありませんし、偶には楽しいですよ?」

「お嬢様がそう仰られるのであれば…」

「じゃあ、決まりですね!」

そんなやり取りをして、二人は駅まで黒崎に送って貰い出掛けて行った。

葛城はその一部始終を陰から見ていたのだが、何だか楽しそうに高月と話している綾芽を見て、心の中にモヤモヤする物があった。

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