無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

いつしか二人は、綾芽のどこが好きか、綾芽のどんなところに惹かれたのかを恥ずかし気もなく披露し合う。

「綾芽様は実に素直で可愛らしいところが私は好きです。そんなお姿を見ているとつい苛めてしまいたくなる…」

「綾芽は確かに素直で可愛いですけど、それだけじゃないです！努力家で優しくて…」

「分かります！本当に綾芽様はお優しい…。他の男性にもお優しいので、少しやきもきしてしまいます…」

「でも、綾芽の中では葛城さんが一番じゃないですかっ！皆、それがどんなに羨ましいと思ってると思ってるんですかっ！！」

「そんな事を言ったら、杜若。貴方の事が私は羨ましいですよ。綾芽様の事をそうやって自然に呼び捨てに出来る貴方が…」

「やればいいじゃないですか」

「出来れば苦労してません！」

そんな言い合いが続く。

きっと、この場に綾芽が居たら顔を真っ赤にして俯いたに違いない。

少し酔ったかと、葛城が時計を見ると、針は23時を回っていた。

そろそろお開きにするか。

「杜若、明日は大事な日です。今日はそろそろ休みましょう」

そう言って葛城は莉玖を促す。

莉玖もそれに同意し、二人は少し千鳥足で宿へと戻る。

葛城は何だか、少し楽しかった。

こんな風に誰かと酔うまで飲んだのは、初めてだったから。