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お嬢様♡レッスン

第100章 再会

振り返ってみれば、自分は何とつまらない人生を歩んで来ていたのだろうかと思う。

いや、つまらなかったのではない。

つまらなくしていたのは、恐らく自分自身だ。

両親を亡くしてから、東乃宮で世話になる事になり、恩を返さなければと必死だった。

それは悪い事ではない。

しかし、主は常に『自由にしなさい』そう言ってくれていたにも関わらず、それを頑なに拒絶していたのは自分であり、それが恩を返す一番の近道だと思っていた。

思えば、主は早くに奥方を亡くされ、一人娘もまた早くに家を出てしまっていた。

例えそれが、合意の上であったとしても、寂しかったに違いない。

自分を引き取る事で、主はその寂しさを埋め合わせたかったのではないだろうか。

どうしてそこまでしてくれたのかは分からないが、主は息子のように可愛がってくれていた。

だが、自分は甘える事も出来ず、主に笑顔を見せる事が出来なかった。

ようやく彼に笑顔を見せる事が出来る様になったのは、執事学校を卒業し、作り笑顔を覚えてからだ。

自分が初めて見せた笑顔に、主は寂しそうに微笑み返したのを今でも覚えている。

しかし、嘘でも笑っていれば楽しくなるもので、いつしか『恩を返す』為の仕事を楽しんで出来るようになった。

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