テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第100章 再会

そして、綾芽に出会い、自分の人生を楽しむ事は悪い事ではないのだと思うようになった。

自分の欲しいものを求める気持ちも。

自分の様な年の離れた男は、若い綾芽には相応しくないのではないかと思う事もあった。

その想いには蓋をするべきだと。

しかし、彼女は自分を望んでくれた。

そして、自分も彼女への想いを止める事が出来なくなった。

例え彼女が自分を忘れてしまっていたとしても。

『彼女を幸せにする』事を邸で働く者達、そして彼女を愛する男達から託されているのだ。

簡単に諦める訳にはいかない。

いや、自分が諦められない。

絶対に彼女を取り戻す。

神が自分に与えた試練だというのであれば、それを乗り越えてみせよう。

再び彼女をこの腕に抱き締めるまで。

自分は絶対に諦めない。

葛城は窓の外を眺めながら、ペンザンスの夜に、そう誓いを立てた。

明日は待ち望んだ彼女との再会の日だ。

葛城はベッドに横になると目を閉じ、綾芽の顔を思い浮かべる。

初めて会った時の綾芽は憔悴し切っていて、痛々しかった。

初めての事ばかりで戸惑い、不安気な表情。

好奇心で目を輝かせる綾芽。

彼は綾芽の表情一つ一つを思い浮かべながら、眠りに就いたのだった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ