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翌朝、葛城は莉玖と合流すると、ホテル内のレストランで簡単な朝食を済ませ、昨夜の内に借りていたレンタカーでロートマン邸へと向かう。

レンタカーを借りた理由は、ロートマン邸の周りを男二人がうろうろしていたのでは、不審がられるからである。

車の中であれば、それ程怪しまれる事はないからだ。

それに車があれば、都合の良い時間に移動が出来る。

葛城の運転で二人はロートマン家の邸の前に到着した。

果たして綾芽は来てくれるのだろうか。

二人の胸の中を不安が過る。

葛城は綾芽の持っているであろう、莉玖のスマートフォンに自分達が到着した事を伝えるメールを送った。

未だ、午前８時を過ぎたばかりだ。

寝ているかも知れない。

葛城と莉玖はそれぞれ、持参した本を広げる。

監視をしなければならない訳でもなく、唯、綾芽が出てきてくれるのを待つだけである為、暇潰しの為に持って来たのだ。

葛城はビジネス書を莉玖はレポートを書く為の自分が所属しているゼミの教授が書いた本をそれぞれ読み始めた。

しかし、葛城は本に集中する事が出来ないでいた。

数百メートル先には、綾芽が居るのだ。

早く逢いたいと心が逸る。