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一方、その頃の綾芽は、ベッドの上でロートマン兄弟に挟まれた状態で目が覚めた。

右を見ても、左を見ても美しい天使が安らかな寝息を立てている。

長い睫毛に縁取られた双眸は閉じていて。

柔らかい桜色の唇は薄く開かれ、そこから吐き出される息は花の香りを放っているのではないかと錯覚を起こしそうである。

二人の寝顔はそれぞれ何度も見ては居るが、二人が揃うと神聖なものの様に見えるから不思議だ。

綾芽は暫し、二人の寝顔に見とれていたが、吾に返ると彼等を起こさない様にこっそりとベッドを抜け出した。

今日は莉玖が再び訪ねて来る日である。

彼女は隠しておいたスマートフォンを取り出すと、メールの着信を知らせるランプが点滅している事に気付いた。

彼女は音を立てない様に静かにバスルームへ行き、そのメールを確認する。

送信者は『葛城さん』となっていた。

綾芽は無意識の内に、その名前を指でなぞる。

送られて来たメールの内容は短く、邸の傍に着いた事を知らせる事が書かれていた。

綾芽はまたもや静かに部屋に戻ると、音を立てない様に着替え、庭へと出る。

途中で出会ったメイドには、庭に散歩に出ると伝え、朝食の始まる９時には戻る事を付け加えた。