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「葛城さんっ！！」

そう言って胸に飛び込んで来た綾芽を葛城は優しく受け止める。

「綾芽様っ！！」

そして彼は、自分の胸に額を擦り付ける彼女をぎゅっと抱き締めた。

莉玖は綾芽が迷わず葛城の腕の中へ飛び込んだ事に安堵した。

（良かった。思い出したのか…）

やはり二人の結び付きは強かったのだ。

彼等が出会ったのは運命で。

神様に悪戯をされながらも、こうして再び逢えて。

綾芽を想う気持ちで切なくはあるけれど、二人が再び逢えて、こうして抱き合えている事が嬉しいと思う。

自分は邪魔ではないかと思い、莉玖は二人に『そこら辺を散歩して来る』と伝えて歩き出した。

二人は抱き合いながら、莉玖の心遣いに感謝する。

「綾芽様…。お顔をもっとよく見せて下さい」

そう言って葛城が綾芽の顎を掬い上げる。

綾芽は顔を上げると葛城を間近で見つめた。

長い睫毛に縁取られた切れ長の涼し気な目に自分の顔が映し出されている。

二人は引き寄せられる様に、どちからともなく唇を合わせた。

「ん…」

優しい葛城の唇に酔う。

しかし、一方ではウィリアムとフレデリクの事を想う自分がいる。



私は誰を愛しているの？