テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第101章 話合

一方、綾芽と別れた葛城は莉玖を探しながら、車を走らせていた。

湖の傍の道を俯きながら歩く莉玖の背中を見つける。

彼は、車を莉玖の傍まで走らせると、車を停めサイドウィンドウを下ろして声を掛けた。

莉玖は身体をビクっと震わせると、気が付いた様に、はっとした顔で葛城の方を向いた。

「どうしましたか?考え事をしながら歩いていたら、危ないですよ?」

「すみません…」

「いいから、早く乗って下さい。一度、街へ戻りますよ?」

そう言って莉玖に伝え、彼が乗車するのを待つ。

莉玖が乗り込み、シートベルトを締めると、葛城は車を発進させた。

「綾芽とは…話は出来ましたか?」

莉玖にそう尋ねられ、葛城は『ええ』と答える。

「実は綾芽様が、もう暫くこちらに居たいと仰られて…」

「綾芽は帰りたくないと言ったんですか?」

「帰って来るとは仰っていたのですが、何でもロートマンのお坊ちゃんと約束をしたそうなんです」

「坊ちゃん?」

きっとあの男だろう。

莉玖が初めてロートマン家を訪れた際に、彼女と一緒にいた青年だ。

彼は綾芽に好意を抱いている。

莉玖はフレデリクの事を思いだしていた。

「そんな事をして大丈夫なんですか?彼等が帰さないと言ったら?あの男は綾芽の事を…」

「大丈夫です。綾芽様が約束して下さったのですから。私は信じております」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ