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お嬢様♡レッスン

第103章 暫しの別れと新しい関係

三人が仮住まいに戻ると、ヘンリーが食事の支度をして待っていた。

執事とは、使用人や家の管理、主人の世話を含めて何でもこなせなければならない。

ヘンリーもシェフ並みとはいかないまでも、それである程度は食べるに困らない程の腕を持っている。

三人は話し合って、ヘンリーにも一緒にテーブルに着く様、命じた。

「とんでもございません!私ごとき使用人が主人と席を共にするなど…」

そう言って恐縮するヘンリー。

「そんな事は気にしないでよ。ここではヘンリーに頼りきりなのに、キミ一人で食事させるのは、合理的じゃないよ」

フレデリクがそう言ってヘンリーに笑い掛ける。


自分は彼に酷い事をしたのに。

彼を裏切り、兄に密告の様な真似をしたのに。

それを彼は許すと言うのか。


ヘンリーは罪悪感で俯く。

するとフレデリクは尚も笑ってこう言ったのだ。

「キミには色々と感謝してるんだ。綾芽と仲良くなれたのもキミのお陰だし、兄さんとも絆を深められた。全てキミのお陰だよ」

我侭だと思っていた少年は、恋をして大人になった。

他者を気遣う心を培ったのだ。

そのきっかけを作ったのは間違いなく、ヘンリーだ。

彼の策略がなければ、フレデリクは未だに女性を嫌っていただろうし、我侭なままであっただろう。


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