無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「ウィルは未だ帰らないの？」

綾芽がそう尋ねると、ウィリアムは微笑んで『まだ、仕事の話があるからね』と答える。

綾芽とフレデリクは、ウィリアムとエミリアに見送られ、ロンドン郊外の家へと戻って行く。

その後ろ姿を見送りながら、エミリアはウィリアムに尋ねた。

「ねぇ、綾芽って貴方達兄弟の何？唯の将来のビジネスパートナーなの？」

「ふふふ。彼女はね…。特別な女性だよ。僕達に変化を齎した…掛け替えのない存在。誰も彼女の代わりになる人はいない…かな？」

「そう…。貴方がそんな風に女性を語るのは初めてね。嬉しいわ。そんな特別な人を私に託してくれて」

「エミリアは僕が知っている女性の中では一番信頼が出来て、尊敬しているからね」

そう言ってウィリアムは微笑む。

「ＣＥＯに評価頂けて光栄です」

お道化た様にそういうエミリア。

「貴方も辛いわね…」

「え？」

「二人共、綾芽を愛しているんでしょう？」

「キミは何でもお見通しだねぇ…」

「まぁね。貴方よりも長生きしてますから！…跡取りはどうするの？」

「ん～…適当に誰かと結婚するか…。もしくは僕の代で終わりにするか…かな？」

「フレデリクが継いでもそうなるのよね、結局…」

「そうだろうね。あの子は元々、女性には興味がないから」