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「今から行ったら、衛兵の交代式が見れるんじゃない？」

「交代式？あの、赤い服を来た兵隊さん達の？」

「そうそう。見た事ないでしょ？」

「確かにないわね…。ロンドン名物だもの、見ておかないと損よね？」

「そうだね。エミリアにはあらかた連れて行って貰っていたと思うけど…」

今は、その交代の儀式はインターネットでも見る事が可能であるが、実際に目の前で体感する事。

それが現地に居る事の醍醐味であるだろうと綾芽は思う。

「しかし、恐らく今からでは、混雑して近くでは見る事が出来ないかも知れませんよ？」

「そうなの？でも、折角だから行ってみたいわ。駄目？」

バックミラー越しに、綾芽は強請る様な視線をヘンリーに送る。

その視線を受け取るとヘンリーは『仕方がありませんね』と言って笑い、パーキングに車を停めると宮殿前の広場へと向かう事にした。

広場は人でごった返していたが、何とか交代式を見学する事が出来た。

交代式は唯、行進するだけではなく、その前に色々と儀式があり所要時間は約１時間程。

一糸乱れぬ行進に綾芽は感動した。

「そう言えば、日本にもエンペラーが居るじゃない？そこではやらないの？」

衛兵達の行進を見学しながら、フレデリクが綾芽に尋ねる。

彼女の記憶には、その様な儀式が行われていると言う情報はなく、綾芽は首を横に振った。