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お嬢様♡レッスン

第108章 Lesson19♥観劇してみましょう

どんな事があったにせよ、今、こうして笑いあえているのはヘンリーのお陰だ。

彼の企みがなかったら、フレデリクともギクシャクしたままであっただろうし、フレデリクが変わる事もなかっただろう。

「だから、これからも二人の事を宜しくね?」

そう言って綾芽は鏡越しにヘンリーに微笑んだ。

その笑顔を見たヘンリーは、胸に痛みを覚える。


もうすぐ彼女は居なくなる。

自分の手の届く女性ではないけれど。

ずっと彼女にも仕えていたかった。

ずっと彼女の成長を見守りたかった。


そんな感情が、彼を切ない気持ちにさせた。

「綾芽様。私は貴女に出会えて心から神に感謝しています。貴女の事は生涯忘れられないでしょう」

そうヘンリーが言うと綾芽は『金輪際のお別れみたいな事を言わないで。私達の縁はこれで切れるわけじゃないわよ』と言い笑った。

「でも、私の手の届かない所に行ってしまわれるのは事実です。貴女にこうしてお世話をして差し上げる事は出来ませんから…」

ヘンリーはそれを心の底から寂しいと思っていた。

綾芽は彼の言葉を受け取ると、彼の方へ身体を向け、ヘンリーの両手を自分の両手で包む。

「ヘンリー。私も貴方に逢えて良かった。本当に有難う」

しっかりとヘンリーの目を見つめ、感謝の言葉を伝える綾芽。

彼女の瞳にやっと映る事が出来た。

ヘンリーはその時、そう思ったのだった。

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