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綾芽は舞台を見つめながらも、フレデリクの手が悪戯を始めた事には気が付いていた。

しかし、この場で変な反応をし、周りに気付かれてはいけないと思い、それには気付かないふりをする。

それに、少しだけ期待していたのだ。

こんな多くの人々の中でのイケナイ行為を。

随分と自分は大胆になったものだと、綾芽は心の中で苦笑する。

こんな自分を葛城は嫌になるだろうか。

それとも喜んでくれるのだろうか。

いや、今は彼の事は考えてはいけない。

今、一緒に時を過ごしているのはフレデリクなのだからと綾芽は自分の心に言い聞かせる。

それよりも、今はバレエだ。

折角ウィリアムが自分に与えてくれたこの機会を愉しまなくては。

そう思い、綾芽は再び舞台の上に集中した。

フレデリクは綾芽の身体を探りながら、彼女の体温が上昇して来ているのを掌で感じていた。

彼の悪戯に気付いているのだ。

それなのに拒絶しないと言うことは、続けても良いと言う綾芽からの承諾のサインだ。

フレデリクは口元に浮かぶ笑みを彼女に触れていない方の手で隠しながら、彼女を探る手を大胆に、しかし周りには気付かれない様に動かしていく。

綾芽が履いているのは、この日もガーターベルトで吊ったストッキング。

腿の辺りは、素肌である。