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お嬢様♡レッスン

第109章 葛城の憂鬱

葛城は自分に与えられたIDを入力し、この会社の情報を閲覧し始めたのだが、ここにも問題があった。

履歴書の内容と職務内容は入力されていたが、それはここ2~3年分だけで、それ以前の分がない。

しかも入力されている内容も、簡単な物でしかなく、義務付けられている勤務態度や業績評価等が入力されていない。

「先ずは人事部から…ですか」

そう言うと葛城はまた、深い溜息を吐き、椅子の背凭れに身体を預けた。

社員の管理システムは綾芽の父、杜若泰芽が宗佑に進言して作らせたシステムである。

彼は秘密裏にグループの業績の振るわない企業の不正等を正し、立て直しを図っていた人物である。

恐らく、宗佑は彼から次のターゲットはこの会社だと言う事を聞いていたに違いない。

だから、自分をここへ送り込んだのだろう。

泰芽が20数年掛けてシステムを作り上げたお陰で、一般社員として紛れ込まなくても、権限さえあれば不正を見つける事が出来る様になった。

しかし、泰芽が亡くなってしまった今、それを検査する者がいない。

本社の人事管理部門では賄いきれない。

専門の検査管理部門が必要と思われる。

それを役員達に担って貰うのはどうだろうか。

葛城はそう考えた。

自分の会社のではなく、グループの他の会社の検査を役員にやらせるのだ。


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