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葛城は、その話し方にも少し苛ついたが、長年の使用人としての作り笑顔を崩さずに『有難う』と言うと彼女の視線を無視してパソコンの画面に視線を映した。

「他にぃ、何かぁ、御用はぁ、ございませんかぁ？」

「ありません。用があれば、こちらからお呼びしますので、いちいち来て頂く必要はありませんよ？」

そう言ってニッコリと作り笑顔で対応する葛城。

この態度が彼女達の心に期待を持たせている事に彼は気付いていない。

今まで、自分を中心に生きて来た彼女達は他人の心の裏の気持ちを推し量る事が出来ない。

笑顔を見せられれば、自分に好意を持っていると思い込んでしまう困った頭の持ち主達なのである。

「さっきぃ、大きなぁ、溜息をお吐きでしたけどぉ、お疲れなんじゃないですかぁ？」

葛城の”早く出ていけ”オーラを察する事なく、須藤ひとみは『私ぃ、マッサージ得意なんですぅ』と言って葛城を無理矢理立たせると、彼をソファまで引っ張って行き、彼をそこに座らせた。

「何をするんですか？」

「マッサージですぅ」

そう言うと須藤は葛城の肩を揉み始めた。

『結構ですから』と言って葛城が断るものの、それは葛城の遠慮だと思い、『大丈夫ですよぉ』と言って揉み続ける須藤。

何が大丈夫なのかと思いながら、乱暴に振り払う事も出来ない葛城。

彼が抵抗しない事をいい事に、須藤は彼の首に後ろから腕を回し、彼の耳朶に唇を寄せ、それを甘噛みする。