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お嬢様♡レッスン

第109章 葛城の憂鬱

「すっごく凝ってらっしゃるんですねぇ?私が癒して差し上げますぅ」

葛城の耳元に熱い息を吹き込みながらそう言って、須藤は自慢の胸を彼の背中に押し当てる。

彼女の経験上、今まで彼女がアプローチをして落ちなかった男性はいない。

(だからきっと葛城さんも…)

須藤ひとみはそう思っていた。

葛城はそんな彼女にイライラしながらも、それを表面には出さずに笑顔でチクリと皮肉る。

「有難うございます。お気持ちは嬉しいと思いますが、須藤さんが貴女の本来のお仕事をきちんとして下されば、こんなに疲れたりはしませんよ?」

そう言いながら、葛城は自分の首に回された腕をそれとなく外した。

しかし、彼の皮肉が分かる相手ではない。

「私のお仕事はぁ、葛城取締役を癒して差し上げる事ですぅ」

そう言って須藤は葛城の前に回ると彼の足元に座り込み、彼の腿を揉み始めた。

「そんなにマッサージがしたいのでしたら、営業部に行って外回りをしている営業部の方々を癒して来てくれませんか?」

葛城は須藤の手を取ると彼女を諭す様な声音でそう言った。

「この会社の売り上げは彼等の”脚”に懸かっているのです。貴女のお給料も彼等が稼いでくれているのですから、奉仕をするなら彼等にして差し上げて下さい」

「何でですかぁ?私は役員さん達の秘書ですぅ。営業の人を癒すのはぁ、私の仕事じゃありません~」

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