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お嬢様♡レッスン

第109章 葛城の憂鬱

「どうかしましたか?」

葛城は須藤の視線に気付き、彼女にそう尋ねると、彼女は顔を真っ赤にして俯いた。

(やっぱりカッコイイ。絶対に”モノ”にしてみせるわっ!)

そう心の中で宣誓する須藤。

彼女はハンカチをポケットから取り出すと、それで目元を抑える。

彼女がそうすると、決まって男達は彼女を心配して慰めようと、隣に座って肩を抱いてくれた。

だから葛城もそうしてくれるに違いない。

須藤はそう計算していた。

しかし、葛城は隣に座る事をせず、向のソファに腰を下ろすと、『飲みなさい』とお茶を勧めるだけだった。

須藤はまた勝手に勘違いをして、それは葛城の”照れ”であると思った。

(じゃなきゃ、上司と部下だから遠慮してるのかしら?)

この会社は、社内恋愛を禁止とはしていない。

実際に社内恋愛の末に結婚したカップルは何組も居る。

須藤もそれを夢見る女子社員の一人だ。

だが、彼女のターゲットはこの会社の人間ではなく、あくまでも東乃宮グループの本社の人間なのだ。

この会社に入ったのも、本社に務めている男性社員と合コンが出来ると思ったからである。

実際、入社してから何度か合コンをして付き合った男性も居たが、そんなに長くは続かなかった。

彼女は他に良い条件の男が居れば、そちらに乗り換えてしまうからである。

そんな須藤の前に現れたのが、葛城だ。

35歳と言う若さで、本社の取締役の一人。

おまけに独身。

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