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お嬢様♡レッスン

第110章 葛城の苦悩

ふと時計を見ると、19時を回っていた。

秘書達は既に帰っただろう。

今日も色々とあったが、須藤の件があって、秘書達も頻繁に葛城の役員室を訪ねてくる事はなくなった。

この会社の社長である、上杉からは『改革は葛城に一任する』との返事があった。

それはそれで、困った事である。

自分の会社を愛していないのかとすら思えなくもない。

しかし、彼が一代で築き上げて来たのだ。

愛していない訳などない。

彼が情熱を持って、未だに現役で現場を飛び回っているのを知っている葛城は、そう理解している。

唯、上杉は方法が分からないだけなのだ。

それを踏まえた上で、彼が戻って来たら、幹部達に今後の改革についてを話す機会を設けよう。

本社には既に協力を仰いである。

あとは役員達の了解を得て進めていくだけだ。

葛城はビル群に囲まれた窓の外を見ながら、これから始まる社内改革についてを考えていた。

向のビルでは、煌々とした灯りが、そこで働く社員達を照らしている。

ウチの社員達の中にもまだ働いている者はいるのだろうか。

そう思った葛城は、社内を見て廻る事にする。

彼が役員室を出て、非常階段から下へ降りようと廊下を歩いていると、秘書室に一人だけ残っている者が居た。

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