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お嬢様♡レッスン

第110章 葛城の苦悩

橘あかりは、急須を手に取ると、言われた通りに湯呑に茶を注いでいく。

並べられた湯呑に半分まで茶を注いだところで、橘の手元がふらつき、急須の注ぎ口で湯呑を引っ繰り返してしまった。

「あっ!熱いっ!」

引っ繰り返った湯呑の茶が、橘のスカートに飛び散る。

白いスーツのスカートに薄緑の液体がじわじわと広がっていく。

「やっ!熱いっ!!」

そう言うと橘はスカートのホックを外し、いきなりスカートを脱いだ。

咄嗟に葛城は、布巾を水で濡らすとそれを橘の患部に押し当てる。

そしてハッと気付いた。

そこがどこであるかを。

それは事もあろうか、橘あかりの内腿付近であった。

それも付根に近い部分の。

葛城は慌てて手を引くと、彼女に背を向け布巾を後ろ手で橘に差し出す。

橘はその手に近付き、自分の股間をそれに擦りつけた。

「葛城取締役…。濡れた布巾のせいで…下着がビショビショになってしまいました…」

彼の肩に手を置き、彼の耳元に唇を寄せ橘が囁く。

狭い給湯室の奥側に居る葛城には逃げ場がなかった。

「火傷…傷が残ったら…どうしましょう…。私、お嫁に行けないかも…」

50℃程度の湯を浴びたくらいで、そこまで酷い火傷にはなる筈がないのだが、珍しく動揺をしている葛城の精神を更に揺さぶる様に、橘はそう言ったのだった。

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