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お嬢様♡レッスン

第110章 葛城の苦悩

橘あかりは、自分の計画が失敗に終わった事に腹を立てていた。

自分が浅はかだったとは微塵にも思っていない。

自分の何がいけなかったのだろうか。

自室の姿見の前で自分の身体を確認する。

幸い、お湯はぬるかったので火傷はしていない。

救急隊員には呆れられたのだが、一人、若い隊員が自分の下着姿を見て顔を赤らめていたのを彼女は見過ごさなかった。

自分は魅力的だ。

橘は自分に自信を持っていた。

父は東乃宮グループの子会社ではあるが、役員をやっていて子供の頃から不自由なく生活してきた。

思い通りにならない男はいなかったが、何か物足りなかった。

『自分にはもっと相応しい男が居る筈』

常にそう思って、次々に付き合う男のランクを上げていった。

しかし成り上がりの男達はお金を持っていても、品がない。

彼女は品が良くて頭の良い男を求めていた。

そして出会ったのが葛城である。

あのスマートで品のある身のこなし。

彼は東乃宮グループの会長の秘蔵っ子であると言う噂を耳にしている。

婚約者が居ようが関係ない。

欲しければ奪えばいい。

自分にはそれだけの魅力がある。

橘はそう思っていた。

「あと少しだったのに…」

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