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お嬢様♡レッスン

第112章 葛城の秘書教育

それでなければ、本気で葛城の事が好きなのか。

ひょっとしたら、そうなのかも知れない。

しかし、彼にその気がない以上、いつまで想っていたとしても報われる事はない。

時には諦めて気持ちを切り替える事も自分の幸せの為には必要な事ではないかと須藤は最近思い始めた。

そう思う様になったのは、葛城とこうして朝の掃除の時間に雑談をする様になってからである。

最初は、付け入る隙がないだろうかと情報収集のつもりで婚約者の事を尋ねただけなのだが、彼女の事を話し出すと、葛城の顔はそれまでのクールな表情と打って変わり、柔らかな笑みを浮かべて嬉しそうになるのだ。

彼が着任してから、厳しい表情ばかりを見て来た須藤は、それに驚いた。

そして、彼がどんなに彼女を想っているのかを切々と説かれるのだ。

(これは他の女性が入り込む隙はないわねぇ…)

須藤は彼のそんな表情を見て、諦めがついたのだった。

葛城に媚びなくなると、彼は警戒心を解いたのか、普通に接してくれるようになった。

時には談笑もしてくれる。

頑張った時は労いの言葉をくれ、きちんと正しい評価もしてくれる。

須藤は今、葛城とは良い上司と部下の関係を築けている。

そう思った。

自分の見方が変われば、世界が変わる事もあるのだと彼女は悟った。

そして、それに橘も早く気付けるといいなと須藤は思ったのだった。

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