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お嬢様♡レッスン

第112章 葛城の秘書教育

「でも、『不味い』って言われるよりも『美味しい』って言って貰った方が嬉しくない?」

バジルソースと明太子のパスタをフォークに絡めながら須藤が尋ねる。

「まぁ、褒め言葉の方が嬉しいわよね。でも、不味くても『美味しい』って言うのが、男性の器量なんじゃないの?」

そんな事を言う橘に、須藤は『やれやれ』と思う。

確かに、少し前までは自分も、世界は自分中心に回っていると思っていた。

でも、全てを自分の思い通りに出来る人間等、そういないのが現状だ。

須藤は今、自分がいかに狭い世界しか見て来なかったかに気付いている。

「ねぇ、橘さん?私達ってもう子供じゃあないわ。大人の世界は何でも自分の思い通りにいくとは限らない。私達が出会いたいステータスの高い男性を落とすには、自分の見方を変えなければいけないんじゃないかしら?」

「そうかしら?私は私よ?この私の事を『良い』って言ってくれる男の人だって居る筈だわ!世間は広いんですもの」

「でも今のままじゃ、葛城取締役は落とせないわよ?って言うか、あの方は無理だわ」

「貴女はそうかも知れないけど、私は違うわ!」

橘あかりは須藤の言葉に、そう言って彼女の意見を跳ね除ける。

これには須藤も少しだけカチンと来た。

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